【観光地を世界遺産として楽しむ】
こんにちは、朝型旅人です!
この記事では「長崎・天草」の見どころと、世界遺産としての価値をわかりやすく解説!
読み終わるころには、ただの観光地じゃない「長崎・天草」の魅力にハマっているはずです。
⛪ 観光地としての長崎・天草 ⛪
今回紹介する遺産は長崎県と熊本県にまたがってます。
構成資産は10の集落と、城郭と聖堂が1つずつ。
全部説明するときりがないので、観光地としての説明は抜粋して行いますね。
まずは城郭、原城跡。これは長崎にあるお城の跡なんですけど、
島原・天草一揆の主戦場です。少し聞いたことありますかね?
陸だけでなく、海からも城郭を眺望できるツアーがあり、
ガイドによる解説を受けながら楽しめます。
次は聖堂。大浦天主堂。これは長崎の定番スポットですね。
洋風建築として初の国宝です。周辺にグラバー園とか旧居留地とかもあって、徒歩での観光に適している立地です。
最後は集落の一つ、野崎島の集落跡。長崎にあります。
ここは無人島。一週間前までに予約しなければならず、道に荒れもあり、動物(鹿とか)もいます。
…観光地としての紹介なのに、観光地感はありませんね笑。
でもですよ。
このアクセスの悪さ、旅行のしにくさが潜伏キリシタンに適していたと思うと興味ありますね。

一歩踏み込んで学びたい方はおすすめです。
⛪ 世界遺産としての長崎・天草 ⛪
この遺産は登録名が「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」です。
2018年の登録なので比較的新しめの遺産ですね。
まずは簡単に潜伏キリシタンの説明しましょう。
潜伏キリシタンは、信仰を隠して生きたキリスト教徒です。
これは江戸幕府がキリスト教を禁止したのが原因。
…ひっそりした推し活ってことですな。
そういう人達が集まっていたのが長崎・天草だったってわけです。
まぁ長崎は海外との交流の窓口だったので流れですね。
- 本来のキリスト教とも違う独自の宗教的伝統の特徴がみられるね
ってことです。
今回紹介する世界遺産としての長崎・天草の特徴は以下の通り。
見た目は仏教徒、頭脳はキリシタン!――その名は、潜伏キリシタン!
はい、どこぞの名探偵を意識して書きましたが…キリシタンも似ているんですよ、某名探偵と。
先ほど、”潜伏キリシタンは信仰を隠して生きた”と書きました。これって、隠居したとかではないんですよ。この人たちは仏教とか神道を信仰しているように振舞って生活していたんです。
実際に、
- 大黒天とか恵比寿神をキリスト教唯一神デウスとして崇拝
- マリア観音という像を置いて、イエスの母マリアを崇拝
とかしていました。小学生っぽく振舞っている高校生探偵と同じですね。
ちなみにデウスはゼウス(古代ギリシャの主神)とは全然別物なので混合注意。
それだけでなく、祈りの言葉(オラショ)も仏教のお経風にアレンジして唱えたり、聖書の物語を絵ではなく口伝で伝え続けたりもしてました。
例えば、有名なアヴェ・マリアの祈祷文はこんな感じ。
「アベマリア グラチア プリナ ドミンヌス テクム」
(ラテン語で「アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、主はあなたと共におられます」)
潜伏キリシタンバージョン。
「アベマリヤ、ガラチャ プリナ、ドミンノステクム」
まぁちょっとお経に近いっちゃ近いですね。
それにしても本当の仏教徒とか神道信者とかにばれなかったのは凄いですよね。
それだけ頑張れる存在なんですねキリスト教は。
250年間の沈黙を破る、信徒発見。
幕末のある日、一人の宣教師が長崎を訪れます。フランス人神父、プティジャン。
彼が滞在していた聖堂に、地元の人々がそっと近づき、こう囁きました。
「ワレラノムネ アナタノムネトオナジ
(我らの胸 あなたの胸と同じ) 」
この瞬間が、「信徒発見」と呼ばれる歴史的出来事です。
西暦1865年の出来事。
江戸時代、禁教令のもとで250年もの間、キリスト教は厳しく禁止されてたのにもかかわらず、信仰は絶えてなかったってことが判明した瞬間です。
よく告白しましたよね。
自分じゃとてもとても伝えられる気がしないです。
このニュースは、ただちにローマ教皇庁にも伝えられ、世界を驚かせました。
「信仰は絶えていなかった」という事実は、キリスト教世界に大きな感動を呼んだと。
んで、その信徒発見が起こった聖堂こそが大浦天主堂なんです。
そりゃあ洋風建築初の国宝にもなりますわな。

こんな感動的な実話ですが、日本が禁教下だったことは変わらないので、
1873年までは今まで以上に弾圧されました。
…ほんと、よく告白しましたよね。
歴史を未来へつなぐ、国内初の協力体制
世界遺産というと「登録されること」がゴールのように思われがちですが、
本当はそこからがスタートなんです。
文化遺産として未来に引き継いでいくためには、
保存や活用、そして周囲の理解が不可欠ですからね。
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、日本の世界遺産として初の試みをしました。
それはICOMOSとのアドバイザー契約です。
ICOMOSってのは文化遺産の保護に関する専門機関だと思っていただければ。
まぁ詳しくはリンクから飛んでください笑。
ほんでアドバイザー契約ってのは専門家の継続的な意見を取り入れながら、地域と連携した保護活動を進めようって契約です。
以前までは登録に向けた「一時的なアドバイス」が一般的でしたが、ここでは「登録後も伴走してもらう」体制を構築。これは日本の世界遺産では初の試みです。
世界遺産に登録するために必要なことを専門機関に仰ぐってことです。
まぁこれだけ聞くとメリットしかないアドバイザー契約ですが、デメリットもあります。
その中の1つは「自由度の低下」です。
なんたってICOMOSの方針は保全重視なんで、観光開発とか施設改修計画とかに制約がかかる可能性があるんですよ。保全に悪影響を与えると判断されて。
自治体的には収益を伸ばしたかったり、
地域住民的には新たな交通インフラが欲しかったりしますが、
それらが叶いにくくなるってことですね。
一長一短ですね。アドバイザー契約。
まとめ
長崎・天草は“歴史が生きてる世界遺産”。
250年の沈黙を破った信徒発見、仏に見せかけた信仰の知恵、海と山に隠された集落。
…ここに旅行したら、今まで隠してた秘密とかも言いやすそうですね笑。
城跡から聖堂、そして静かな集落跡まで、訪れる場所それぞれが「語り部」。
観光で楽しむのも良し、歴史を深く味わうのも良し。
この地を歩けば、あなたもきっと、静かで熱い物語に触れることができます。
ここまでご覧いただきありがとうございました。またおいでくだされ。