【黄金よりも高価な花】紅花が山形に築いた「富と信仰の循環」を徹底解明!

日本遺産

地域のストーリーを日本遺産として捉える
こんにちは、朝型旅人です!

この記事では「村山地域」に息づく歴史や文化、そこに込められた“物語”を、日本遺産の視点からわかりやすく紹介します。

読み終わるころには、ただの観光や知識ではなく、「村山地域」という地域の奥深い魅力にきっと惹きこまれているはずです。

観光地としての村山地域

はい、こんかい紹介するのは村山地域です。ここがどこかというと、山形県の中心あたりです。

が、今回の遺産のメインは「山寺(やまでら)」なので山寺のみの紹介をしますね。

世界遺産検定勉強の方
韓国にある「山寺:韓国の山岳僧院群」って遺産は「サンサ」って読みます。

山寺は宝珠山立石寺(ほうじゅさんりっしゃくじ)って名前です。
観光雑誌とかは立石寺と表記されがちですね。

ここのアクセスは割と良いです。最寄駅からは5~10分くらいで行けます。

実は行ったことあるんですよ。山寺。

ここの特徴をざっくりいうと2つです。

1つ目は煩悩を消滅させる階段です。ここ、1000段以上の石段があるんですよ。んで、石段は登ることにより煩悩が消滅すると言われているんです。

…1段登ると1つの煩悩が消滅するのかは判断しかねますが、もしそうだとしたら凄いですよ。

年末にやる除夜の鐘が108個の煩悩しか消せないのに、立石寺に登れば1000個ですよ!
…まぁあくまでも私の仮定があっている前提の話ですが笑。

特徴2つ目は松尾芭蕉が訪れたってことです。
まぁ松尾芭蕉は色んな旅しているのでそれだけじゃインパクトに欠けますが。

芭蕉さん。隣には芭蕉の旅の同行人曾良(そら)像もありました。

ここは、松尾芭蕉が「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」の句を残したところなんですよ。
聞いたことありますよね。

(朝型旅人なりの現代語訳)
ああ、なんと静かなことだろう。蝉の声が、まるで岩に吸い込まれていくかのようだ。鳴いている蝉の声しか聞こえない。

山全体が修行の場であり、俗世の喧騒から隔絶されているからこそ、蝉の声のような小さな音さえも吸い込んでしまうような静寂が生まれる。そんな句です。

山寺に訪れたらぜひ周りの音を聞いてみてください。

…めっちゃ余談ですが、隣の駅名が気になります笑。
面白山高原」。時間の都合上行けなかったのがかなり心残りです。

村山地域の日本遺産ストーリー

村山地域(山寺)は、石段の有名な景勝地みたいな感じにまとめましたが、この遺産の本質はそれではありません。

この遺産、登録名は「山寺が支えた紅花文化」です。
そう、本質は紅花の方なんですよ。

こちら紅花。花弁は黄色ですが、加工を経て紅色になります。山形県「県の花」になってます。

紅花って何かを先にまとめると、化粧用として、織物用として、広く重宝された作物のことです。

しかもその価値も非常に高く、平安時代からは「黄金よりも高価なもの」とされてました。

村山地域は、最上川(もがみがわ)が近くにあるので肥沃な土壌が確保されている、朝霧がたちやすいなどの理由で良質な紅花栽培ができたんです。

まぁそんな好立地だったもんで、村山地域は、紅花の栽培と加工において日本最大の産地として栄えたんです。

紅花は夏に収穫され、手間をかけて発酵させられ、「紅餅(べにもち)」という塊に加工されます。この紅餅ってのが、当時の山形が生んだ超高級品だったんです。

紅餅の画像は調べても出てこなかったので、気になる方は
紅餅の製作技術 | 日本遺産「山寺と紅花」をご覧ください。

この超高級品「紅餅」を、最上川経由で、消費地である京都や江戸まで運びました。

最上川の舟運は、紅花という高額商品を運ぶことで、山形に莫大な富をもたらし、「紅花大尽(べにばなだいじん)」と呼ばれる豪商たちを次々と生み出しました。

「作って、運んで」で村山地域はとても潤いのある地域になりました。
紅花によって村山地域のアイデンティティが確立されたんです。

ただ、これでストーリーが終わりじゃないのがこの遺産の強み。

巨万の富を得た村山地域の人々ですが、紅花栽培って天候や病害虫などのリスクをはらんでいるんですよ。いつ不作になるのか分からないという漠然とした不安が常にありました。

そのため、山寺っていう信仰の場が、富の不安を解消する「心のインフラ」として機能したんです。人々は不安を払拭してもらう代わりに自分たちに出来ることをしました。

ここで登場するのが山寺なんですよ。

私財を投じて山寺の堂宇(お堂)を修復・建立したり、紅花染めの美しい布を寄進したり。

心の安定と救済を求める代わりに富の一部を信仰に還元したってことです。
疑似的な地産地消ってことですね。

紅花がもたらした富が山寺の信仰を支え、山寺の信仰が紅花経済を動かす人々の心を支える。このような「経済と信仰の循環システム」こそがこの地の最大の特徴なんです。

似ている世界遺産

私が村山地域と類似していると考えた世界遺産は、イタリアにある「ヴェネツィアとその潟」です。あの「水の都」として知られている文化遺産

ヴェネツィアとその潟の特徴は以下の通り。

  • 海上に築かれた都市。118の島、176の運河、400以上の橋からなる
  • 地盤が泥水なので大量の杭と石灰質の石を積むことで基盤が成り立っている
  • 地下水や天然ガスの採取の影響で地盤沈下が深刻な問題

有名な観光地ではありますが、2023年には危機遺産リスト入りの勧告がなされるほど、世界遺産としてはギリギリの立場にある場所です。

世界遺産「ヴェネツィア」を訪れたい方は早めに行くことをおすすめします。

ひとまずそれは置いときまして。

村山地域とヴェネツィアには「特定の高級品の交易を独占し、その莫大な富を信仰に投じた」という点で共通しているんです。

15世紀あたりのヴェネツィアは、香辛料や絹、宝石などにおいてほぼ独占状態でした。東方貿易を駆使して莫大な富を築き上げたんです。

ヴェネツィアはその富を惜しげなく大聖堂や総督邸などの建設に充てました。

これは現在のサン・マルコ大聖堂ドゥカーレ宮殿などを見れば明らかですね。

サン・マルコ大聖堂。ビザンツ様式が用いられている代表的な建築です。

村山地域とヴェネツィアは、単なる商業都市ではなく、交易という経済活動によって得た富を、信仰に還元したという点で、非常に類似性が高いんですよ。

あとは水の立地を最大限に活用している点でも類似していますね。

村山地域は最上川を使っての交易、
ヴェネツィアは運河を使っての交易。

水と環境を最大限活用して、水の上で富を得た点でも共通しているといえます。

まとめ

山形県の村山地域に息づく「山寺が支えた紅花文化」。

紅花は見た目の美しさだけでなく、染料としての希少性で、富の創出、信仰への還元と、様々な恩恵を村山地域の人々にもたらしてくれました。

経済が信仰を促し、信仰が更なる経済を促す。
この繰り返しを自身の土地だけで完結させる村山地域の面白さたるや。

ぜひ山寺を訪れる際は、ぜひ1015段の石段を登って、紅花文化が支えた信仰の力と、芭蕉も感じた「岩にしみ入る静寂」を体感してみてください。

ここまでご覧いただきありがとうございました。またおいでくだされ。

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