【地域のストーリーを日本遺産として捉える】
こんにちは、朝型旅人です!
この記事では「四国遍路」に息づく歴史や文化、そこに込められた“物語”を、日本遺産の視点からわかりやすく紹介します。
読み終わるころには、ただの観光や知識ではなく、「四国遍路」という地域の奥深い魅力にきっと惹きこまれているはずです。
👣観光地としての四国遍路👣
「四国遍路」。聞いたことある方も一定数いるんじゃないでしょうか。
その名の通り、四国を一周する巡礼ルートです。
全長なんと約1,400km。
徒歩で回ろうとすると40~50日ほどかかります。
不眠不休で世界記録ペースで走り続けることができるとしたら、
1400㎞×2.83分(2分50秒/㎞)=3962分
3962分=約66時間
つまり3日かからずに巡礼できますね!
歩いて巡る「歩き遍路」だけでなく、車やバスで回る方法もありますが、
個人的にはやっぱり“歩き”がおすすめ。
歩いてこそ、風景や出会いに深く触れられる気がする派なので。
40日間ぶっ通しで札所を回る方法のことを「通し打ち」っていいます。
対して、数回に分けて回る方法を「区切り打ち」っていいます。
ちなみに私のお勧めは「区切り打ち」です。
時間的にも体力的にも「通し打ち」はできる気がしない…
スタート地点は人によって異なりますが、
徳島の霊山寺(第1番札所)から始める人が多め。

まぁでもどこからでも始めることができるのが四国遍路の強みですからね。
いまでも「遍路ころがし」って呼ばれる険しい山道や自然がたくさん残ってて、金剛杖をもった「お遍路さん」がたくさん行き交っています。
遍路道の途中では、地元の方から飲み物や食べ物をいただく「お接待」文化もあるので、
自分のペースでゆったり巡ってみるのが良いですね。
👣四国遍路の日本遺産ストーリー👣
この遺産の登録名は「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~です。
徳島県、香川県、愛媛県、高知県の四国にまたがるシリアル型の日本遺産です。
さっきも触れちゃいましたが、この遺産の最大の特徴は回遊型であること。
要は、どこからでも巡礼を行うことができるという点です。
世界には「往復型」の聖地巡礼はありますが回遊型は世界でも類を見ません。
四国遍路は東京にある山手線みたいにどこからでも乗ることができるんですね。
四国遍路の起源は弘法大師(空海)の修行です。彼が始めた聖地の巡礼がもとになって、最終的に弘法大師の生まれ故郷・四国がそのまま聖地として民衆に広まったんです。
四国遍路って弘法大師を祈るためのものなんです。
…実はあまり知らなかったんじゃないですか?
また、四国遍路では、場所ごとに名前がついてるんですよ。
進んでいくごとに人間の心が成長していくと考えられているんです。
阿波(徳島県)は「発心の道場」、
土佐(高知県)は「修行の道場」、
伊予(愛媛県)は「菩提の道場」、
讃岐(香川県)は「涅槃の道場」、
こんな具合で名前が冠されてるんですね。

先ほど提案した「区切り打ち」を行う方はこれを指標の一つに巡礼しましょう。
四国遍路を一周巡礼しきった猛者はそれで終わりなのでしょうか?
そうじゃないんです。お礼参りで高野山に行く方もいるんです。
理由は、高野山が弘法大師・空海の入定(にゅうじょう)した聖地だから。
入定というのは瞑想に入り続けている状態という意味です。
いまも弘法大師がいると考えられているからお礼参りに行くんですね。
高野山は世界遺産「紀伊山地の霊場とその参詣道」の一部です。
その記事も世界遺産の記事一覧から飛べますので暇だったら見てやってください。
似ている世界遺産
似たような特徴の世界遺産、今回私が紹介するのがスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路です。
じゃまずこの世界遺産の説明から、
- キリスト教三大巡礼路の一つ
- キリスト教界では超有名人、聖ヤコブの墓がある
- 聖ヤコブを表すシンボルであるホタテ貝の墓石が多くみられる
です。まぁ巡礼路の遺産という時点ですでに大分似ていますよね笑。
ちなみにサンティアゴ・デ・コンポステーラは一つの道でありながら、三件も世界遺産に登録されているすんごい道です。そのうち記事にしますね。
話戻しまして。この世界遺産と四国遍路の似ている点を挙げると、
- 歩くこと自体に信仰的な意味がある
- 巡礼によって地域文化や観光文化を形成
- 国内外から巡礼者が訪れ、多様な価値観が交差する
といったところですかね。最近では四国遍路にも外国人巡礼者が増え、グローバルな信仰の旅になりつつあります。
また、サンティアゴの巡礼路は“文化的景観”としての評価も高いんです。
ってことはですよ。四国遍路も将来的に世界遺産候補になり得る文化的価値を評価されるかもしれないですね。
一方で、サンティアゴ・デ・コンポステーラとは大きく異なっている箇所が四国遍路にはあります。
それは、宗教・宗派を超えた「心の旅」であるということ。
誰でも「お遍路さん」になることができ、「救い」や「癒し」を求めて歩き続けることができます。
キリスト教世界のサンティアゴ・デ・コンポステーラとは大きく異なる特徴です。
まぁどちらも素晴らしいことに変わりはないんですけどね笑。
まとめ
四国遍路は世界的にも珍しい文化の見られる巡礼路です。
道そのものが“物語”であり、歩くことでしか出会えない風景があります。
建物や道だけじゃなく、祈りもまた遺産。
巡礼するごとに、時代や価値観を越えた何かに触れられる。
そんな不思議な旅が、四国には今も残されています。
死ぬまでに一度は巡ってみたいものです。1,400㎞。
ここまでご覧いただきありがとうございました。またおいでくだされ。