【観光地を世界遺産として捉える】
こんにちは、朝型旅人です!
この記事では「原爆ドーム」の見どころと、世界遺産としての価値をわかりやすく解説!
読み終わるころには、ただの観光地じゃない「原爆ドーム」の魅力にハマっているはずです。
● 原爆ドーム ●

まずは簡単に原爆ドームの説明からしてきましょう。
原爆ドームは広島県中心部に残る建物の一部です。
原爆ドームへは、JR広島駅から路面電車で約20分。「原爆ドーム前」電停で下車すれば、すぐ目の前です。市内観光の合間にも立ち寄りやすい場所ですね。
もう一つの世界遺産「厳島神社」までは1時間ほどで移動可能。
そうそう、広島県って世界遺産が2件あるんですよ。「原爆ドーム」と「厳島神社」の2件。2025年現在、日本に25件しかないことを考えるとすごいことですよ。何気に。
ちなみに1県に2件以上の世界遺産があるのはたった5県だけ。
……話を戻します。爆心地から北西約150メートルという距離で爆撃を受けたにも関わらず、外壁の一部が倒壊せずに残されていることから戦争の記憶を今に伝える建造物です。原子爆弾の被害を受けながらもその形をとどめていることから世界遺産に登録されています。
この原爆ドーム、皆さんが思い浮かべる世界遺産とは一線を画しているように感じませんか?
なんとなく世界遺産=絶景とか思いませんか?自分はそう思っているんですけど。でも原爆ドームは違うんです。原爆ドームは景観上優れているから世界遺産に登録されたわけじゃないんです。原爆ドームは「負の遺産」なんです。
負の遺産とは
いきなり「負の遺産」とか言われても訳わからんと思います。
「負の遺産」は、人類の過ちや悲劇を伝えるために登録された世界遺産です。戦争や奴隷制度、虐殺など負の歴史を後世に伝え、同じ過ちを繰り返さないための記憶の場となってるんです。
核兵器使用という人類の過ちを忘れないための原爆ドームの世界遺産登録ってことですね。
「不幸の記憶」か「平和の象徴」か

世界遺産登録前、原爆ドームについては広島市民の間でも解体すべきか保存すべきか長年議論されてきました。
はじめは風化や経年劣化による被害を想定して解体の流れでしたが、保存を願う市民運動の影響で原爆ドームの永久保存が決定しました。
永い時代を経たわけでも、人類の叡智によって建てられたわけでもないただの建物ですが”記憶そのもの”を遺す選択がなされた場所なのです。広島市民、遺してくれてありがとう。
歴史的価値や、建造物としての価値は認められないが、世界平和を目指す活動の記念碑として、世界でもほかに例を見ない建造物である
ICOMOSの報告書より
原爆ドームの世界遺産登録から何を感じるか

このように市民の運動によって原爆ドームは世界遺産登録されたわけですが、全ての国が手放しで世界遺産登録に賛成したわけではありませんでした。そのうちの一国はアメリカです。
はじめは「アメリカが核兵器を使ったから被爆地を遺産にされたら気まずいからだろうなぁ」くらいに考えていましたが声明を見るとそれとは違った理由を感じ取ることができました。
世界遺産リストへの記載の決議後の声明によるとアメリカの主張は「核兵器を使うに至った過程についての情報が欠如している」とのことでした。
たしかに日本の被害ばかりが話題として挙がっているけどアメリカ側にも核兵器を使わざるを得なかった理由があったのかもしれない。
日本が悪い、アメリカが悪いということではなく、戦争そのものが最も愚かであると考えさせられる遺産のように感じました。まぁ感じ方は十人十色なんでぜひ訪れてみてください。
まとめ
原爆ドームは、「負の遺産」と呼ばれる、過去の悲劇を後世に伝えるために残された世界遺産のひとつです。美しい景観でも、観光名所でもありません。
原爆ドームは「ただ残された」のではなく、「なぜ遺すのか」を私たちに問いかけてくる遺産です。
ここまでご覧いただきありがとうございました。またおいでくだされ。