【地域のストーリーを日本遺産として捉える】
こんにちは、朝型旅人です!
この記事では「木曽路」に息づく歴史や文化、そこに込められた“物語”を、日本遺産の視点からわかりやすく紹介します。
読み終わるころには、ただの観光や知識ではなく、「木曽路」という地域の奥深い魅力にきっと惹きこまれているはずです。
観光地としての木曽路
さぁ、今回紹介するのは木曽路です。長野県に位置する遺産で、登録範囲が7つの市町村にまたがっている少し広めの遺産です。
木曽路ってのは江戸時代の中山道のことを指す言葉です。
そりゃ登録範囲も広いですよね。
木曽路は東京から車で3~4時間ほどで行くことのできる場所です。
気合い入れれば日帰りもできないことはないくらいの距離ですね。
特におすすめしたい景観2か所紹介しときます。
1つ目は寝覚の床です。上松町にある浦島太郎伝説ゆかりの地ともいわれている場所ですね。

…ちょっと気になりません?笑。長野県(内陸県)なのにどうして浦島太郎が関係あるのか。
一説によると、浦島太郎は「竜宮城から持ち帰った秘宝の中の飛行の文書で寝覚の床までやってきた」らしいんです。それなら納得。
上松町の公式キャラクターも浦島太郎になぞらえて「太郎ちゃん」です。
訪れたらぜひ探してみてください。
おすすめ景観2つ目は奈良井宿です。塩尻町にある宿場町ですね。
ここは日本で一番長い宿場町なんです。1㎞くらいあります。

ここの良いところは、
江戸時代の情緒ある町並みを見ることができる点と、
標高が高いから、四季折々の自然を堪能できる点ですね。
宿場町なだけあって旅館も民宿もたくさんあり、宿泊旅行にぴったりですね。
こういうところの旅館の部屋で、夜お酒飲みながら星とか道とか眺めるのが楽しいんですよ笑。
ここらは、とうじそばや、山賊焼き、川魚などグルメも強いんです。
絶対宿の食事美味しいですよ。あー旅行行きたくなってきた笑。

ちなみに”冬至”ではなくて”投汁”です。
木曽の日本遺産ストーリー
「木曽路はすべて山の中」――これが木曽路の日本遺産名です。
意味が分かりにくいかもしれませんが、サブタイトルが非常に分かりやすいです。
木曽路はすべて山の中 ~山を守り 山に生きる~
自然との共生が特色の遺産ってことです。
どうして一見分かりにくい言葉を遺産名にした理由は、
「木曽路はすべて山の中である」って島崎藤村が表現したからですね。
まぁまぁ、ストーリー名の由来については置いといて。
木曽路には”木曽檜”っていうめっちゃ優秀なヒノキが群生していたんですよ。その優秀具合は伊勢神宮で御神木として300年以上にわたって用いられるほど。

もちろん木曽檜でできています。
何が優秀かというと、他のヒノキに比べて”耐久力が高い”んです。
木曽路はもともと標高の高い場所
↓
基本寒い
↓
ヒノキの成長もゆっくり
↓
年輪の幅が狭い(木材の密度が高い)ヒノキになる
↓
他のヒノキより耐久力が高い
そんな優秀な木材だったので安土桃山時代以降に乱獲されちゃったんですよ。
この辺の時代は城郭・寺社建築で大量の木材が必要となったので。
まぁそんなことしたら森林資源だって有限なので山がはげちゃうわけですよ。
これに危機感を覚えた尾張藩(木曽の所轄)。
そこでめっっっちゃ厳しい林野保護政策を打ち出したんです。
日本史とかでも出ますね。厳しすぎてこんな言葉までできました。
「木一本首一つ 枝一本腕一つ」
えげつないルールですね。
でもこんな禁制を敷いたら木曽の住人が職を失ってしまいます。
それを防ぐために住人のみ、「御免白木」を用いることが許されました。
御免白木ってのは、使用が許可された材木のことです。
住民たちはこれを用いて、「お六櫛」などの工芸品を作って生計を立てました。
いまの時代から見ると、この超厳しい規則のおかげで、いまの景観が維持されているんです。だからこそ、「木曽路はすべて山の中」なんて粋なタイトルも付けれるんですね。

似ている世界遺産

こんかい私が木曽路と類似していると感じた世界遺産は、アルジェリアにある「タッシリ・ナジェール」です。
タッシリ・ナジェールの特徴はこんな感じ。
- 現地の言葉で「川が流れる大地」という意味の複合遺産
- サハラ砂漠にある山岳台地
- 4つの時代で構成される岩絵が残っている
- 岩絵から、この地が定期的に雨の降り、豊かな動物相がうかがえる
世界遺産検定1級を勉強する方
「川が流れる大地」・雨が降るの2点を覚えれば大丈夫です
ここと木曽の共通点は、目先の利益や経済活動を制限することで、より大切な資源を守り抜くという決意があったことです。
アルジェリアってアフリカ有数のエネルギー国なんですよ。石油とか天然ガスがめちゃくちゃ採れます。でもタッシリ・ナジェールでの採掘は厳しく禁止されているんですよ。
タッシリ・ナジェールはおおよそ北海道と同じくらいの面積があります。
だから採掘すればかなりの鉱物資源を獲得することができる場所なんですよ。
でも、採掘を進めることで貴重な岩絵が破壊されることを危惧してここでの採掘は禁止されているんです。それこそ「石油一ℓ 首一本」みたいな感じで。
守るべき資源は違えど、目先の利益より未来の価値を優先したという点で、この二つの遺産は似ていると感じました。
まとめ
「木曽路はすべて山の中」という短いタイトルの裏には、単なる宿場町の風景だけでなく、資源を守り抜いてくれた先人の努力と、現代まで続く知恵が込められていました。
また、その「資源を守るために何かを禁止した」というストーリーは、世界遺産とも類似することがあることも分かりました。
ぜひ、木曽路を訪れる際は、山の木々を見て、「この一本一本の木が、守られた証拠なんだ」とか感じながら、ゆっくりと歴史の重みを感じてみるのも面白いかもしれません。
グルメも強いですしね笑。
ここまでご覧いただきありがとうございました。またおいでくだされ。

