【訪問地をプレ遺産として捉える】
こんにちは、朝型旅人です!
この記事では「天橋立」を実際に訪れたうえで、そこに眠る“遺産的価値”を
朝型旅人の視点から読み解き、ご紹介します。
読み終わるころには、きっとあなたも「天橋立」を
ただの観光地ではなく “世界遺産予備軍”として見てみたくなるはずです。
🐉観光地としての天橋立🐉
今回訪れたのは天橋立です。京都府の宮津市にある観光地です。
京都府内ではあるんですけど、京都駅からは割と遠いです。
私は京都駅から高速バスで行きましたが3時間弱でした。
「日帰り旅行で清水寺→天橋立」みたいな計画は立てられないってことですね。
ただ、天橋立駅から天橋立までは徒歩で行くことができるので、一概にアクセスが悪いというわけではないです。
天橋立といえば、やっぱり「股のぞき」でしょう。
体をかがめて、自分の股の間から逆さまに景色をのぞき込むやつです。
これによって海が空に見えて、凄いね!ってなるやつです。

「股のぞき」は、天橋立ビューランドと天橋立傘松公園の二か所でできます。
天橋立ビューランドはアトラクションが多くて、遊園地然としているので子連れにおすすめです。
天橋立傘松公園は周辺に神社が多いので、歴史好きにおすすめのスポットですね。
ついでに私が実際に見て興味の惹かれたスポットを二か所紹介します。
一つ目は、智恩寺です。ここは天橋立の付け根にあるお寺。
本尊は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)です。
「三人寄れば文殊の知恵」でおなじみの文殊ですね。
智恩寺は文殊のルーツといわれているところです。
行くだけでなんだか賢くなれそうですよね笑。
実際に、輪を三回くぐると頭が良くなるとされている「知恵の輪灯籠」も智恩寺の隣にあります。
が。穴が結構高いところにあるんですよ…

くぐる度胸なんてありませんよ。みんなから見られるし。
私が訪れた時は、頭だけ入れて出してをしている人と、周りをぐるぐる回る人の二種類が見受けられました。どっちかはしておきましょう笑。
二つ目は、廻旋橋です。ここは天橋立と陸地を繋ぐ橋で、天橋立を散歩する方が必ず通る橋です。ここは一日に数回、橋が回転するんですよ。
これ、観光客を楽しませるのが主目的じゃないんですよ。
実は、この水路、船が通るんですよ。
んで、船が通るときに橋があると激突しちゃうってことで、橋側が避けるんです。
船が通る間はもちろんその橋を歩くことはできませんが、大体2~3分程度なので観光には支障ありません。訪れたら見ておいた方がお得な橋です。

天橋立は京都駅からは離れてはいるものの、面白い場所がたくさんあることが分かりましたね。
中学、高校の修学旅行で京都を訪れた方はたくさんいると思いますが、京都府北部まで行った方はそういないと思います。
今回は紹介しませんが、京都府北部には「伊根町」っていうこれまたとても興味深い場所もあるんですよ。次の、次の、次のプレ遺産記事で紹介する予定なので首を長くして待っててください笑。
🐉プレ遺産としての天橋立🐉
さ、以上が観光地としての天橋立でした。
そこらの世界遺産にも引けのとらない特徴を有している観光地でしたね。
…どうして世界遺産じゃないんでしょうか笑。
私は天橋立を世界遺産にするなら、登録基準ⅲで申請すべきだと考えました。
ⅲのみの文化遺産での申請。
登録基準(ⅲ):現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
その根拠を、天橋立の特徴と一緒に説明してきます。
今回紹介する天橋立の特徴は以下の通り。
一つずつ説明していきます。
天橋立は「栄光の架橋」!?
まぁ先ほど軽く紹介した「股のぞき」なんですけど、かなり奥が深いんで再度説明していきます。
まずですね、「股のぞき」は場所によって見えるものが変わるんですよ。
全部が全部「飛龍」に見えるんじゃないんです。
「股のぞき」できるのは二か所あると前述しましたね。
まず、天橋立傘松公園から「股のぞき」すると、天橋立が天に架かる橋のように見えます。これが「天橋立」の由来といわれているんですよ。

この角度なら「栄光の架橋」みたいに見えますね。
一方で、天橋立ビューランドから「股のぞき」すると、天橋立が天に舞い上がる龍のように見えます。そのため、ここでの「股のぞき」で見える景色は「飛龍観」と呼ばれます。

確かに龍が登っているようにも見える…
両者ともに特徴が異なっているのでどちらも行くことをおすすめします。
体力と興味のあるに限りますがね笑。それなりに歩きます。
と、まぁ「股のぞき」について詳しくなったところで、原点に帰りましょう。
なんで股からのぞくの?
これが一番謎ですよね。最初にした人はなんでそんな変なことをし始めたのかと。
これは、もともと天橋立を「天と地を結ぶハシゴ」だとする伝説があったことに由来するんです。まぁ「諸説あり」ではありますが。
「天地を反転させれば、神様の視点でハシゴが見えるんじゃね?」って発想から、股をのぞき始めたとされています。これが起源。
大正・昭和期になって写真入り絵葉書で「股のぞき」って行為が広まったことで「股のぞき」文化が定着しました。この文化の凄いところは現在も続いているところ。
「股からのぞく」という独自の文化が根強く残っている点で基準ⅲに足る特性を有していると考えられます。
「股のぞき」の効果
「股からのぞく」ことで得られる効果は三つあるんですよ。
- 色彩が鮮やかになる
- 距離感が不明確になる
- 大きさが変わる
これらの影響で、海が空だと認識してしまうんです。
まぁ要は錯覚ですね。
今まではこれらの効果が、「視野の逆転」によるものなのか、「上体の逆転」によるものなのかが明らかになってなかったんです。
この問題を解決したのが東山篤規教授(立命館大学 総合心理学部)。10年にも及ぶ研究から「股のぞき効果は頭を下にすることで起こる」ことを明らかにしました。
この発見は2016年のイグ・ノーベル賞を受賞するに至り、天橋立の観光客をさらに増やす一因になりましたとさ。めでたしめでたし。
天橋立にある「ドラゴンボール」!
天橋立を基準ⅲとして推薦する理由は「股のぞき」だけじゃないんです。
ここには龍神伝説に由来する「一龍万倍(いちりゅうまんばい)」って言葉があるんです。これが基準ⅲを後押しする要素になるんですよ。
「一龍万倍」って言葉、なんとなく聞き馴染みがある気がしませんか?
実は「一粒万倍」って言葉をもじったのが「一龍万倍」なんですよ。
そもそも一粒万倍って言葉は、一粒の籾が万倍に実るって意味で、「小さなものが大きく実を結ぶ」という吉日の考え方です。神社とかでたまに聞きますね。
天橋立の「一龍万倍」は、この一粒万倍と龍の加護を重ね合わせた、独自の開運概念です。願いを増幅する力を持つと信じられてます。
…じゃあ「龍の加護」ってなんやねんと思いますよね。
それを具現化したのが如意宝珠です。
如意宝珠は、意のままに願いを叶える宝珠のことです。
モチーフは仏教に由来してるんですけど、天橋立では龍神信仰と結びついてます。
そして天橋立では如意宝珠のことを「龍の願い玉」として提供しています。
龍の加護=如意宝珠=龍の願い玉ってことです。
まぁ色んな言い方はありますが、要はドラゴンボールですね笑。
でも、ただ願いを叶えてくれる訳じゃあありません。
「龍の願い玉」をあるところへ奉納することで願いが叶うとされています。
その奉納方法は以下の通り。
天橋立傘松公園または天橋立ビューランドの展望所(昇龍)に行く
↓
自分の願いに合った「龍の願い玉」を購入(玉を掴む)
↓
お願い事を「願掛け用紙」に記載
↓
「龍の願い玉」を手に持ちながら股のぞき。
龍が空を舞っている景色からパワーをもらい、「龍の願い玉」にこめる
↓
三寺社(智恩寺または元伊勢籠神社または成相寺)へ奉納をする(降龍)
こんな感じで、天橋立は一龍万倍と龍神伝説を組み合わせて、
人々の願いを成就させる開運の場として機能してます。
重要なのは、これらが過去の伝説として語られているだけでなく、現在も観光・信仰の実践として継続されているってこと。完全に「生きている文化」ですね。
「生きている文化」とかって世界遺産の特徴にありがちなんですよ笑。
正直これだけだと基準ⅲの主張としては弱いんですけど、先ほどの「股のぞき」と組み合わせることで、世界遺産に申請してもいいくらいの強度になるんですよ。
「股のぞき」と「一龍万倍」の特徴を組み合わせて文章を作ってみるとこんな感じ。
天橋立は、
「股のぞき」という視覚文化、
「一龍万倍」の開運思想、
如意宝珠を用いた奉納という信仰儀礼
この三つが相互に補強し合いながら、龍神信仰を軸とした文化が受け継がれている。
これらは基準ⅲ「文化的伝統を伝承する物証」を示す要素である。
少なくとも、天橋立を“単なる景勝地以上の存在”として語る根拠にはなるだろう。
…それっぽくなりましたね笑。
世界遺産にするための方法2選!
実は、天橋立って世界遺産になるべく結構頑張っているんですよ。
こちらに公式のリンクを貼っておくので興味があれば。
天橋立を世界遺産にする会 | 天橋立を世界遺産にする会

世界遺産にしたいって気持ちが伝わってきますね。
このような活動が20年以上前から行われているものの、2025年12月時点では暫定リストにすら入っていないのが現状です。
おそらくありふれた登録努力はされてきているでしょう。
というわけで、私は天橋立を世界遺産にする意外な戦略を二つ考えてみました。
世界遺産拡張作戦と、日本遺産強調作戦です。
世界遺産拡張作戦
これは初めに軸となる一か所だけを世界遺産として登録したあとに、世界遺産の登録範囲の拡張を狙おうって作戦です。
拡張すること自体はできるんですよ。
前例はたくさんあるので、制度上の問題はありません。
それじゃあ始めにどこを世界遺産として申請するのか?
私の思う最適地は「天橋立傘松公園」です。
少し前で、こうまとめました。
天橋立は、「股のぞき」(視覚文化)、「一龍万倍」(開運思想)、如意宝珠の奉納(信仰儀礼)この三つが相互に補強し合いながら、龍神信仰を軸とした文化が受け継がれている。
この三つの要素が含まれているのが、「天橋立傘松公園」なんですよ。
「股のぞき」に至っては発祥地だし。
ここだけを世界遺産にするという方針で活動すると、今まで分散されてた資金を天橋立傘松公園に集中して費やすことができるようになり、周知活動も容易になります。
これが「世界遺産拡張作戦」ですね。
日本遺産強調作戦
これは既に日本遺産として登録されている分野を世界遺産にしちゃおうって作戦です。
この作戦は「股のぞき」とか、そういう文化は全部使いません。
この記事で説明していた部分は申請しないってことです笑。
実は、天橋立をはじめとする宮津市って日本遺産なんですよ。
日本遺産って何?という方はこちらをご覧下さい。
日本遺産・日本遺産検定について
日本遺産の登録名は「300年を紡ぐ絹が織りなす丹後ちりめん回廊」。
そうです。この作戦は、天橋立を絹織物産地として申請するんです。

絹織物を押し出すので、申請する基準はⅲとかⅴとかですね。
こっちの作戦は、天橋立を「景観の名所」ではなく、「生産と技術を支えた文化圏」として申請するのがミソですね。
日本遺産を世界遺産として押し出すことの最大のメリットは「保全・管理体制がすでに確立している」ことです。あと自治体間の連携がある程度完成していることもメリットですね。
これが「日本遺産強調作戦」です。
私が考えたのはこの二つですけど、
どんな形だとしても世界遺産にしてもらいたいですね。
まとめ
天橋立は、日本三景としても知られる有名な観光地でした。
しかもそれだけではなく、龍にまつわる、今も実践され続けている文化的伝統もありました。
天橋立は「美しい景色が残っている場所」のみならず、
文化が“使われながら”残ってる場所って感じでした。
世界遺産登録という観点で見れば、
天橋立はまだ暫定リストにも載っていません。
でも十分すぎるほどに世界遺産になるポテンシャルを秘めている場所でした。
観光地としての魅力を持ち、
文化的な物語を内包し、
制度的にも可能性を残している。
そうした“未来を持った遺産候補地”を見つめ直すこと。
それが、この「プレ遺産」シリーズの目的です。
…めっちゃ良いこと言いますね笑。
次に天橋立を訪れるときは、
ぜひ「景色」だけでなく、その背後にある文化にも目を向けてみてください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。またおいでくだされ。
📸番外編・映え型旅人📸
ここは私が天橋立を旅行して撮った写真をただ貼るだけのコーナーです。

…傘松公園でも「飛龍観」っぽい景色を楽しめますね笑。

妖精なのに日本昔ばなしにも出てきそうなフォルム。



